ひとり暮らし

雑記。日々思うこと。

神秘の人々

 

神秘の人びと

神秘の人びと

 

 

 思わせぶりな文章というものがある。それは本当に何かしらの意味を含んだ文章であったり、また文章そのものに意味なんてない、適当な呪文のようなものなのだけど、人の妄想を掻きたてるようなところがある。

 

 人は様々なことを勝手に妄想したり脳内で補間したりしている。歳を取ると小説が読めなくなるのは、現実というものを割と正確に見据えられるようになったということでもあり、同時に若いころの身勝手でファンタジーな世界観を思い出せなくなっているということでもある。

 

 歳を重ねると、こんなことはできないと思うことが増えてくる。ただその定型的な常識というものには常に例外というものも存在している。普通はこの歳で医者なんかなれないだろうという人が医者になったり、子どもなんか産めないだろうという高齢で出産する女性もいる。現実的なことはわかりやすい美点で、周りからの評価も得やすい。歳をとり、夢を語る人の多くは周りから邪険にされたり、馬鹿にされる。ただ現実的すぎるのも視野狭窄であり、現実的なことも行き過ぎると、非現実的なセオリー一辺倒のつまらない人間になる。大概そのような人は今の自分の現状に対して不満を多く持ちがちだ。だから夢見る人や生き生きとした人の足を引っ張る。あまりに地に足がついていないのも考え物だが、地に根の生えた人間の自己成長するつもりのない、周りを引っ張り落とすその態度は、反吐が出るほど醜く情けない。したり顔した皮肉屋より、馬鹿な夢想家でわたしは居続けたい。