ひとり暮らし

雑記。日々思うこと。

部屋の顔

 会社の同僚とテレビは部屋に必要なのかという話になった。彼曰く、テレビはほとんど見ないそうで、私も深夜のバラエティ番組を録画してたまに見るぐらいで彼と同じようなものだ。それじゃあ代わりに何を見ているかといえばスマホの小さな画面を食い入るように見るということになる。確かにスマホさえあれば、残りの情報機器の必要性は減る。スマホがあればテレビも見れるし電話もできるしネットもできるしゲームもできる。だが私はふとテレビのない自室に自分がいるのを想像したとき、テレビはあった方がいいと思えた。それはテレビの持つ、情報を発信する機器としての必要性とはまた別に、部屋のレイアウトとしてテレビがないと様にならないのだ。テレビのない部屋はそれこそただ人が待機している場所。監獄のような窮屈さを感じさせるのではないかと思った。それと同時にテレビというのは窓、というとらえ方もできるのかも知れない。窓そのものはどの部屋にもあるだろうが、多くの窓は人の感情を満足させるような景色ではないだろう。また夜になれば窓はカーテンなどで覆われてしまい、外の景色を眺めることなんてできなくなる。鉄筋コンクリートで固められた密室にいるとき、人は景色を求めて、ディスプレイに飛びつく。テレビのような大きな画面と、スマホの小さな画面、どちらがより解放感をもたらしてくれるかを考えると、それはテレビに軍配が上がるのではないか。小さな画面にかじりつく自分を傍から眺めたとき、私は自分のことを気持ち悪いと思うだろうし、そいつのことを嫌いになるだろう。