終わりなき対話
終わりなき対話 III 書物の不在(中性的なもの・断片的なもの) (シリーズ・全集)
- 作者: モーリス・ブランショ,湯浅博雄,岩野卓司,郷原佳以,西山達也,安原伸一朗
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2017/11/22
- メディア: 単行本
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謙虚すぎる態度は、時に傲慢にもなりうる。
かつてはかぶりつくようにして読んだブランショも、一時の出版ラッシュのあとは次第に尻すぼみになり、今では他の書籍の山にまぎれてその姿を見出しにくい。ただなぜだかそのポジショニングのうまさとでもいうのか、決しておれがおれがと前に出てくるわけでもないのに、いつまでも視界の端にしぶとく居残り続け、特別な立ち位置、とは言っても、決して必須な役割を与えられているわけでもないのに、どことなく偉そうな、いや、マイペースな彼を切り捨てられない半端さが愛おしくもあり、苛立たしい。
数ページ読むともうおなかいっぱいで、なるほど、わかった。俺には少し難しすぎたと白旗を振りながら、銃を向けるこの感じ。好きなのか嫌いなのか。ただ気になり続ける彼の存在を無視し続けられないこのことに、なにか意味などあるのか。いや、ない。これが彼の作戦なのだ。そしてこの彼の作戦を通してなにか学ぶべきことがあるとするならば……。